風邪や扁桃炎、肺炎など病気が重いほど熱は普通高くなる。熱の、高さは、病気のおもさのバローメーターといえる。だから解熱剤で熱が下がると病気がよくなったような気になるにも無理はない。
しかし、間違ってはいけない。解熱剤がもとの病気を良くすることはないということだ。それどころか、逆に病気を悪化させる作用さえある。
ウイルスや細菌など病原体が身体に進入したとき、これを排除しようとする作用の一つとして発熱や炎症反応だ。ウイルスや細菌は、熱に弱い。熱がでると身体もきついが、ウイルスや細菌はもっときつい。
その反応を抑えるとウイルスや細菌はかえって勢いを増して病気の治りが遅くという動物実験もある。熱で死ぬことはまずないが、解熱剤で死ぬことがある。
とくに抗炎症剤系の解熱剤は、なるべく使わないようにするのが賢明だ。
使うにしても、よわい解熱剤(アセトアミノフェン)を医師に処方してもらい。
熱や痛みで睡眠が妨げられて体力を消耗しやすい場合などに限って、体温を一度程度下げるぐらいに効かせるのが安全だ。ちさい子供が40度を超える高熱を出した場合でも、解熱剤の副作用を考えと我慢させたほうがよい。こうした事情を説明すると分かってくれる親は増えている。
医薬ビジランスセンターJIP 所長 浜 六朗 日経(夕刊) 97年 6月9日