お酒を飲むと吸収されて血液中に入ります。アセトアルデヒドに代謝されてさらに進むと酢酸と水素に分解され、最終的に炭酸ガスと水にまで分解され体外に排出されます。酔いの症状が出るには、アルコールと作用と代謝の途中のアセトアルデヒドの血液中濃度が大きく関係します。
アルコールの作用;血中濃度(%)が比較的薄い場合は脳の網様体という部位に作用し、理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になります。血液中濃度が上がると小脳で運動失調(千鳥足)状態になります。さらに濃度が上がると海馬までアルコールの作用がおよび、そのときの記憶が思い出せなくなったりします。極限濃度では作用が中枢まで進み、呼吸中枢(延髄)におよぶと呼吸のできない危険な状態に陥り、死にいたることもあります。
アセトアルデヒドの作用;顔面紅潮、心拍数の増加、胸の動悸、吐き気、頭痛、拡張期血圧の低下、総頚動脈圧の上昇、などの症状を引き起こします。その他に、種々の臓器の細胞を構成しているタンパク質と結合し,直接細胞障害を起こしたり,免疫異常を起こすことがあるとされています。脳では、アセトアルデヒドと結合した特殊なタンパクの影響で、アルコール嗜好性や依存性が成立すると言われています。
アルコールとアセトアルデヒドの濃度を決める酵素には、3つあります。
アルコールはまずADH(アルコール脱水素酵素)でアセトアルデヒドに分解されます。ADH(アルコール脱水素酵素)には不活発型と活発型があります。不活発型はゆっくりアセトアルデヒドを産生しますが、活発型はアセトアルデヒドを速やかにアルデヒドに変換します。
ADHの遺伝子型は各人種固有の出現頻度を持ち、民族差があります。日本人は約85%が活発型で、欧米人は約10%の割合で活発型がみられます。つまり日本人の多くは、簡単にアルコールがアセトアルデヒドに変わりアセトアルデヒドの作用がすぐに出ます。
ALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)には14種類の類似の酵素があり,その中のALDH2がアセトアルデヒドを主に分解します。ALDH2には活性型と不活性型があり、遺伝的、民族的特徴があります。不活性型には、部分欠損型と、欠損型の2種類があります。活性型はアセトアルデヒドがすぐに分解するので、アセトアルデヒドによる症状が出にくいのですが、飲みすぎれば分解が間に合わず、症状が出現します。部分欠損型の人はアセトアルデヒドを分解するのに時間がかかり、飲酒するとアセトアルデヒドの害を受けやすい体質といえます。欠損型の人は、アセトアルデヒドを殆ど分解できないため、アルコールを全く受けつけない体質といえます。
日本人では活性型は約50%、部分欠損型は40%、アルコールを全く受けつけない欠損型が約10%の割合です。白人は殆どの人が活性型です。
MEOS(ミクロソームエタノール酸化系酵素)は本来タンパク合成や抗生物質・鎮痛剤など、薬物や異物の代謝を行っていますが、血中アルコール濃度が上昇すると代謝を始め、大量飲酒・常飲によって活性が亢進します。部分欠損型の人は、飲酒を重ねるとMEOS活性が鍛えられその力が強くなってきますから、飲めない人が飲めるようになることもありますが、血中アセトアルデヒド濃度がいつも高くなるので注意が必要です。
また、ALDH2が不活性型だとアセトアルデヒドの分解だけでなく、アルコールの分解も遅延するといわれています。